「道を切り開いてくださる神さま」

A. 突破口をくださる神さま

 教会員Sさんがデザインしている、ある月の暗唱聖句のポスターの御言葉は、「わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている」(ヨハネ10:14)でした。
 Sさんは一年前から、学校の給食や食堂のランチを作るパートに出ていますが、慣れない仕事ゆえ、失敗するたびに責任者にしかられてばかりです。ある日、落ち込んだSさんは、「神さま、もう辞めたいです!」と祈りました。帰宅すると、居間にあるポスターがいつもより大きく見えて、この聖句が胸に響きました。Sさんはイエス様が、「すべて知っているよ」と語りかけ、頑張っていれば、今の訓練がきっと役に立つときがくる、と語られているように感じ、明るくなったのです。
 翌日、責任者が、「それにしてもSさんは、今までとは全然違う仕事に飛び込んできて、えらかね」と初めてほめてくれ、Sさんの辛さも一気に吹き飛びました。苦難に立ち向かう者に、神さまは突破口となる出来事を起こしてくださいます。  
 パウロとシラスが獄中で賛美し祈っていると、大地震が起こり、牢の扉が開きました。

B.聖書より

真夜中ごろ、パウロとシラスが賛美の歌をうたって神に祈っていると、ほかの囚人たちはこれに聞き入っていた。使徒言行録16章25節
 町を混乱させる先導者として捕らえられ、牢に入れられた罪のないパウロたちは、自己弁護などしませんでした。神さまによって、最悪の状況も良い方向に展開されることを信じ、祈り、賛美を歌い続けました。キリスト者から奪い取ることが出来ないただ一つのものは、神さまとイエス様の臨在です。パウロには、獄中でさえ神さまと共にある自由があり、牢獄も平安に祈れる礼拝堂となっていました。そして、突然大地震が起こり、牢の戸がみな開き、すべての囚人の鎖が外れたのです。自分の方では、何の行動もできなくても、その問題に精一杯ぶつかっていると、向こうの方から道が開かれてくることがあります。そして、当面の問題が解決していくのです。

C.新薬は自分が開発する!―ジョン・クラウリー氏

 「お子さんの余命は5年です。この病気には治療法も薬もありません」と、ジョン・クラウリー氏は医師から告げられました。娘が、1才でポンぺ病と診断されたのです。ポンぺ病とは、筋ジストロフィーの一種で、筋肉が衰え、やがて心肺機能が停止し、5〜10歳までに亡くなる難病です(世界に5千人)。次の子も生後まもなくポンぺ病であることが分かり、クラウリー夫婦には辛い日々が続きます。
 カトリックの信仰を持つクラウリー氏は、長年勤めた経営コンサルティング会社を退職、製薬会社に転職し、自分で新薬を開発すると決意しました。ベンチャー企業を立ち上げたキャンフィールド博士と共に新薬開発のプロジェクトを進め、大手製薬会社にベンチャー企業を買い取ってもらい、クラウリー氏は幹部として新薬開発のリーダーとなりました。
 娘が5歳、息子が4歳になった頃、遂に試験薬が完成します。ところが、製薬会社は、少ない試験薬を、できるだけ多くの患者に投与し、結果を出して認可を急ごうと、投与する対象を1才未満の乳児に限りました。クラウリー氏の子どもたちは、臨床試験の対象から外されたのです。クラウリー氏は、治験を引き受けてくれる病院を会社に無断で探し始めるが、これはルール違反でした。クラウリー氏は、開発プロジェクトから外されます。与えられた職務を黙々とこなし、皆に公私混同して迷惑をかけたことを詫びました。そんな様子を見た取締役は、キャンフィールド博士と共に、密かに兄弟治験を引き受けてくれる病院を探し出し、遂に2003年、クラウリー氏の二人の子に、ついに新薬が投与されました。二人とも車椅子ではあるものの、子どもらしい夢と希望、そして笑顔を持つ子どもになりました。現在娘は13歳、息子は11歳です。
 神さまは苦難の中、いくつもの突破口を与えてださり、道を切り開いてくださいました。

D.結び

 先がまったく見えず、人間的には将来が不安な時も、イエス様によって神の子とされた救いを喜び、神さまが必ず道を備えてくださることを覚え、神さまを賛美しましょう。神さまは思わぬ方向から助け手を与えてくださり、道を切り開いてくださるのです。
御翼2010年8月号その2より


  
世界で活躍したクリスチャン HOME